乱中日記の価値

《乱中日記》は李舜臣の個人的戦場体験だけでなく、戦争前の状況と壬辰倭乱当時の戦況を知ることができる客観的資料として価値がある。

しかも《乱中日記》は単純に自分の個人史だけでない壬辰倭乱7年間の状況を最も具体的に知ることができる資料として、戦乱の全般について記録し、軍事に対する戦略・戦術会議・地形偵察・軍事訓練・秘密訓練などの記録が生き生きと綴られている。

これは朝鮮の国難の中で生死をかけて戦った戦争期間の記録だが、その文章は簡潔ながらも真実であり、忠孝と信義の標本を提示することによって後人の大きな手本となる。

Draft Writing of Nanjung Ilgi

日記の内容を見れば、李舜臣の人柄と人間的な苦悩、国に対する深い忠誠心などがあちこちに表われている。公私の区分と公務の処理が非常に隙がなく、部下に対する愛と賞罰が明らかで厳正である。これ以外にも国政に対する率直な感懐の記録などが武人らしい雄渾な筆致で描かれており、芸術品としての価値も優れている。

ある英雄的な人物の伝記を研究するにおいても《乱中日記》は遜色がない。戦争期間で出世の過程・投獄・拷問・白衣従軍などの非情な波風と逆境の人生でも、最後に戦争で勝利した者の記録であるためだ。またその当時の政治・経済・社会・軍事などの様々な部門にわたった記事と自分が出戦した海戦での詳細な戦闘機録などは、壬辰倭乱と水軍の歴史を研究するにあたり重要な資料である。

このような理由で《乱中日記》は戦争を勝ち抜いた将帥であり、戦争遂行者の李舜臣の手記であるため、それ自体でも十分な価値があるだけでなく、彼の事績を研究したり壬辰倭乱を研究するにおいて最も重要な資料といわざるをえない。